春の里山 落合峠 矢筈山 黒笠山 縦走  2010/5/8
          里山倶楽部四国編 

− 矢筈山から黒笠山へは野性味豊かでタフな縦走路だった −

毎年4月から5月の季候の良い時期には少しタフな縦走を楽しむ事にしている。

昨年は、藤井寺から焼山寺ピストン、赤帽子から丸笹山へのピストンそして雲早山から高丸山への縦走を楽しんだ。

三嶺から丸石の周回も楽しいコースだった。

今年は、近くの山歩きが多く、縦走や周回を十分に楽しんでいない。

G/Wも終わって気候も最高。

今週末も天気は良いようだ。

ずっと気になっていた矢筈山から黒笠山への縦走に出かけよう。

この従走路は、かって危険だとか悪路だとか言われてきたが、最近では良く歩かれているらしい。

但し、「山と高原地図」によると矢筈山から黒笠山までの距離は3.3qしかないのに所要時間は片道3時間となっている。

プリントミスかな?

3.3qなら2時間もあれば歩けるだろう??



落合峠に着くと剣山から天狗塚まで続く祖谷の主峰を繋ぐ稜線が青空の下で輝いて見える。

素晴らしい天気に初めての縦走を控えて気持ちが高ぶる。



香川ナンバーのマーク2が一台だけ駐車している落合峠を8時18分出発。

標高1520m



いつもなら朝露に悩まされる笹は綺麗に刈り払われている。

向こうに、これから向かう矢筈山が見える。

(左奥の山)



稜線に乗り、剣山系の山々を眺める。

落合の谷は深い。



いつの間にか三角点が出来ていた。



振り返ると落ち禿から前烏帽子そして烏帽子山

後ろから単独の男性がやってくるのが見える。

凄い勢いなのでその内追いつかれる事だろう。



シロバナエンレイソウが咲くウラジロモミの樹林帯を行く



マイヅルソウの葉が一面にあるが花はまだ咲いていない。

花の時には白い絨毯になって素晴らしい事だろう。

やがて急坂になり踏ん張って登る。



サガリハゲ分岐に9時16分着



お花畑にはニリンソウが咲き始めているが花は少ない。

バイケイソウが芽生えている。



岩場を越えて矢筈岩に着く。

登ってみたいが今は先を急ぐ。



頂上に近づくとこれから歩く黒笠山への従走路が見える。

あれっ!

随分とアップダウンがあるじゃないの。

今まで気にしていなかったけど結構厳しそう。



9時41分 矢筈山山頂到着。

標高1849m

此処まで1時間23分。

なかなか良い調子。

「山と高原地図」のタイムは2時間30分なので、この調子で歩けば此処から黒笠山まで2時間くらいかな?

(この考えが甘かった事を後で知る事になる)

頂上標識の右に標識が置いてある。

向こうに見える尖った山はサガリハゲ山



水を飲んだだけで黒笠山に縦走開始

まずは第一のピーク(膳棚)1778mを目指す。



一度100m程下る。

意外と坂が急で笹が深く、あっという間に転倒する。

この時腰をひねったようで、腰の古傷が変な感じでギクッと来る予感。

ギックリ腰が出ないようにかばいながら歩かざるを得ない。

この時、水のペットボトルを一本落としてしまったらしい。

これが後から応えてくる。



笹は少し枯れていて埃が凄い。



第一のピーク(膳棚)に差し掛かり振り返ると矢筈山がかなり高く見える。

此処で黒笠山まで残り2.3キロの標識

やっと1q来たらしい。

10時19分

矢筈山から37分。この調子なら2時間で楽勝かな?



第一のピークへの登りとなり岩が出現する。

岩の右を巻いて岩場を進むと素晴らしい眺望



目の前に剣山次郎笈と黒く尖った山頂はこれから向かう黒笠山



右後ろには平べったく見える三嶺と尖りの天狗塚



第一のピーク(膳棚)噂の大岩に来る。

昔はこの岩を越えて行ったらしいが今では岩の左下へと巻き道がある。



しかし、この巻き道もかなりワイルドで最後はロープで稜線に戻る。



小さなピークを越えていくが道が不鮮明で、皆さん色々なルートを取るのか薄い踏み跡がアチコチにある。



また見晴らしの良い稜線に乗ると黒笠山がかなり近くなる。



倒木やまだ蕾の堅いツツジの枝が道を塞ぎその度に踏み跡が右へと稜線をはずれるようになる。

その都度左へと稜線に戻り進む。



樹林帯の向こうに黒笠山が見えるようになる。

第二のピーク(東膳棚1750m)の手前には二重のテープがあり道はピークに向かわずに右に下っている。

今までの習慣で左のピークへ登ると明確な踏み跡が東へ下りている。



急坂を下っていくと家内が赤テープが見あたらなくなったと言う。

黒笠山が正面右に見えている。

これ以上進むと黒笠山と離れていくようだ。

地図とGPSで確認すると、第二のピークから東南東に進むべき所を東北東に向かう尾根に乗ってしまったようだ。

このままでは木地屋の村落に下りていってしまう。

大失敗。

急坂を登り返してかなりの時間(20分)と体力のロス



また二重テープまで戻り、古い輪になって垂れ下がった赤テープを右へと急坂を下りる。

急坂の途中で左を見ると先程下りた急な尾根が見える。



急坂を下りると後1.3qの標識

11時28分

かなり遅れてしまった。



此処から、かなり道が悪くなり急坂を慎重に下る。



正面に黒笠山を見あげるようになりヤマシャクヤクの群生する開けた斜面に出る。

ここで今日初めての休憩。

ひねった腰が熱を持ってズキズキする。



標高1600mの鞍部に着いて登り始める

コミヤマカタバミが咲いている



開けた谷を登ると稜線に出るがまだ先があった。



目の前に黒笠山があるのになかなか着かない。



ザレた道を這い上がると白井の登山口からの登山道(津志嶽からの従走路)に飛び出す。

笹が深かった従走路は広く笹が刈られて見違えるように整備されている。



いよいよ黒笠山に向けて最後の登り



岩のテラスまでの道はかなり崩壊が進んでいる。



岩のテラスから今まで歩いてきた従走路を眺める。

随分と前に、このテラスから矢筈山を見て何時かは縦走したいと思っていた。



チェーンの岩場を登る。

以前は少し怖かったが慣れたのかあまり怖くなかった。



12時40分黒笠山到着。

途中で道を間違ったとはいえ、地図のコースタイム通り丁度3時間かかった。

2時間で来られるなんてとんでもなかった。

誰もいない頂上で感慨にふける。



素晴らしい眺望を楽しみながら昼食にするが、ここまで来るのに予定以上に時間が掛かっている。

帰りの事を考えて早々に食事を済ませて12時54分下山開始。



これから帰る矢筈山を眺めてその遠さに一瞬くじけるが気を取り直して下って行く。



素晴らしいブナもまだ芽吹いていない



標識14時10分

登り返しの急坂に足が重い。



ツツジの枝が煩わしくなり笹の埃で喉が痛い。

水をかなり消費して残り少なくなってしまった。



膳棚の大岩をトラバースして15時に標識に着く

後1q



矢筈山への最後の登りはかなり足に来たが踏ん張って登る。

朝、転倒したあたりで水のペットボトルを探すが笹が深くて見つける事が出来ない。

ゴミを増やしてしまったのは拙かった。

今後注意しよう。



15時47分矢筈山に帰ってきた。

帰りは道を間違えたわけでもないのに2時間53分掛かった。

予想以上にタフなコースだった。

時間も遅いのでそのまま落合峠に向かう。



黒笠山を振り返る。



矢筈岩に立ち寄って眺望を楽しむ。

岩の上は風が強く気持ちが良い。



花園にはシロバナネコノメソウが咲いていた



矢筈山から落合峠までは水平路になってから細かいアップダウンがあって遠い。

17時25分落合峠着。

捻った腰も何とか大丈夫だった。

長い間の念願が叶ったが予想以上にタフなコースだった。

休憩は殆ど取らなかったにもかかわらず9時間一寸掛かった。

笹の埃で喉がガラガラになり、唾も粘って気持ちが悪い。

烏帽子山の登山口の近くで山の湧き水で顔を洗いうがいをする。

冷たい水が気持ちが良い。

帰って風呂に入ってビールを飲んだら爆睡してしまった。





総歩行距離14.2q

累計標高差 ±1372m


里山倶楽部四国編
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