冬の里山 笠ヶ峰(新宮) 三傍示山  2010/1/9
          里山倶楽部四国編 

− 下り付(おりつき) ←土佐街道→ 笠ヶ峰(新宮) ←→ 三傍示山(徳島県最西端の山) 

今日も朝は冷え込んでいる。

夕べの家族会議で色々検討した結果、去年登り残した土佐北街道の笹ヶ峰に登る事に決定した。

朝6時過ぎに出発すると名田橋の所で0度の表示。

高速を進むと昨夜は雪が降ったみたいでお高越山や竜王山は真っ白。

この調子だと笹ヶ峰はかなりの積雪かも?

霧の森でトイレをお借りして、下り付の「やぶきた茶園」下の駐車場?に駐車。

若い男性がやって来たので駐車のお断りをして土佐北街道の雪の状況をお聞きする。

「北土佐街道?冬は地元の人も通らんのよ」

急に心配になる。



この新宮でも昔は山茶を栽培していたが、昭和二十九年に静岡の「やぶきた」の苗を入れ、

現在では全村無農薬茶を栽培している事で有名。

その大半が此処の工場で製茶されて通販で全国に販売されている。

徳島の上勝町も年寄りがパソコンを使って彩り事業をしているが、

この新宮も通販で「霧の森大福」「新宮無農薬茶」等を販売して成功している。

8時32分土佐北街道に入る。

標高270m位

此処から標高1016mの笠ヶ峰まで標高差約750m



民家に消えかかった高札がかかっている。

昔は高知から笹ヶ峰を越えて参勤交代の殿様や金比羅講の参拝者達

そして紙の原料の楮、三椏が運ばれていたらしい

街道の途中には茶屋などもあり栄えたと言う。

最終民家の間から登って行く。



「土佐北街道」の案内板と 「歴史の道百選」の石碑が立つ

歴史の道百選に選ばれた時はこの道も賑わった事だろう。



登り始めると突然厳しい登りとなる。

ジャケットを脱ぎ、それでも暑くアンダーシャツ一枚になりヒイヒイ言いながら登って行く。

腹包丁の看板にやっとたどり着き此処から緩くなるかと思ったが益々道はきつくなる。



手袋も脱いでザックのポケットに入れる。

家内は快調に登るが私は脹ら脛が痛くなる。



標高500mを越えると雪が出てくるが予想より少ない。

今朝降ったばかりの様だ。

頭上が明るくなりやっとトラバース道に出る。

此処で初めての水休憩。

あれっ!

手袋が片一方無い。何処かで落としたみたい。



雪の石畳の道は滑りやすく余計に足に力が入る。

やっとの事で樫のやすばに着く。

昔の旅人も此処でやっと一息ついた事だろう。

樫の大木や広葉樹が残っている。



道が緩やかになり、更に登ると徒武に着く。

9時50分。

標高850mだと書いてある。

1時間20分で約580m登ってきた事になる。



水平な道を進み、後160m位標高を稼げば良いと思っていたら突然急な下りとなる。

狭いトラバース道は綺麗に石積みがされている。



笠取峠の標識がある。右へ下ると木地師の里

左へ下ると犬の飛脚の墓。そして先日塩塚峰に登った時に通った新瀬川。

しかし峠は此処にはなくて本当の峠はもう少し下ったところ。

所で犬の飛脚の墓って?



約100m下ってまた登り始める。

石畳の道は雪が多くなって益々滑りやすくなる。

道が緩やかになると水無峠に着く。

此処にも昔、茶屋があったそうだ。



茶碗のかけらが置いてあるが昔の茶屋で使われていた物??

清水産業の好意で残されているという天然杉の間を進む。



右側が開けると尖り山が見える。

三ツ足山1105mだろう。



滑りやすい石畳の道は益々急になる。

最後の難所七曲がりとか。

街道という呼び名にだまされてはいけない。この街道は本当にきつい。

夏に登るのはお断りだ。



七曲がりを登り切ると作られたばかりのベンチがある。

右に雪を被っているのはカガマシ山か。



左が切れ落ちているところには雪が多く道の境がよく解らない。

慎重に進む。



北にお椀の様な塩塚峰がドオーンと横たわっている。



塩塚峰から右へと天狗岳、剣の山、三傍示山と続く稜線は雪雲に覆われている。



倒木が多くなる。



昔、下り付から登ってきた旅人は無事に此処まで登ってきた事を感謝し杖を置いたと言う。



首が付け替えられた地蔵さん



右には雪雲に覆われた左橡尾山(1222.1m)から右カガマシ山(1342.7m)の稜線。

霧氷が美しい。



10時58分県境峠に着く。

2時間30分掛かっている。



県境には大きな県境標識の柱が二つと、土佐九代目藩主の歌碑が建っている。



右に少し登ると笹ヶ峰山頂1016m

地図上に示された1016mのピークはもっと西の四等三角点「笹ヶ峰」

一人、橡尾山へ向かった足跡が付いている。

橡尾山山頂は真っ白。

コーヒーとあんパン一つで一休み。



少し高知県側に下ると三傍示山登山口の標識がある。

踏み跡が付いている。

一人三傍示山に向かった様だ。

私達も出発。11時7分。

突然スズタケのブッシュとなる。



スズタケを抜けて緩やかに下って行く。

目の前に三傍示山が見えてくる。



先行者の足跡が無ければ迷いやすい広い尾根が続く。

赤テープが所々にあるが数は少ない。

背を越えるスズタケが続く。

雪を被って垂れ下がってきている。

かき分けると頭から雪を被る。



鞍部まで70mほど下り急坂を上る。

スズタケのトンネルの下を屈む様にして進むがきつい。



登りの途中で先行者が下りてきた。

松山から来られた様だ。

「4年前に来た時はこんなにブッシュはきつくなかった。今日は大変だった」

雪を随分と落としていただいてありがとうございます。

更に厳しくなったブッシュを押し分けていくと分岐に着く。

右には霧氷の向こうに野鹿池山から黒滝山への稜線。

左へと進む。



ブナの霧氷は既にかなり落ちてしまっている。

道は益々荒れてくる。



12時19分くたくたになって三傍示山山頂に着く

この三傍示山は徳島の最西端の山

愛媛県と徳島県そして高知県の県境にある。

三つの県の県境だから三傍示。しかしこの山頂は高知県と接しては居ない。



天気が良くなり青空が見えてきた。

やはり霧氷は青空と似合うなあ。



ゆっくりしたいが日は短い。

12時28分下山開始。



晴れてきたので野鹿池山や黒滝山がくっきり見えてくる。



山を見ている間に家内は分岐を曲がらずに先に進んでしまっている。

急いで呼び戻す。

この分岐を真っ直ぐ行くと野鹿池山からの車道に出る。

この分岐が本当の三県の県境。



下りはスズタケの雪が落ちて歩きやすくなっている。

快適に下る。



登り返して13時26分峠に帰ってくる。

南の日溜まりで少し遅い昼食。



余りゆっくりとしていられない。

13時39分出発。



晴れてきたので先程登った三傍示山がくっきりと見える。



塩塚峰は堂々として居るなあ。



途中の登り返しはきつかったが快調に駆け下りて15時27分登山口到着。

家内は石畳で滑ってすってんころり。

怪我もなくて良かった。

手袋も回収できた。



意外と早く下りる事が出来た。

馬頭観音に今日の山歩きが安全に楽しめた事を感謝して帰宅。

雪が少なかった事は少し残念だったが土佐北街道の笹ヶ峰と県境の三傍示山を歩く事が出来た。

次はカガマシ山にも登りたいと思う。

里山倶楽部四国編

inserted by FC2 system