槍ヶ岳 U 2009/07/23
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− 快晴の槍沢の雪渓を登る 憧れの槍の穂先に立てるか? −

夜中に一度トイレに起きただけでぐっすりと寝る。

トイレはバイオトイレで広くてとても綺麗。

小さな常備灯がついていて懐中電灯の必要はなかった。

3時半頃に父娘と若い夫婦が起きて出発の準備を始めた。

私も喉が渇いたので起きて洗面所で歯磨き。

環境の為石けんや歯磨き粉は使えない。



ドクター夫婦は既に出発したらしい。

父娘は4時半前に出発。



4時47分若夫婦も出発

私達はのんびり朝食。

今日も食欲が進みお代わりをする。

(ご飯、お味噌汁はお代わり自由)



5時30分水をペットボトルに詰めて出発。

(この時四国の夏山の様に二人で3リッター持ったが槍沢は水場が多い為1リッターで十分だった)

今日は標高差1350m程を登る。

ヘリポートの奥を進む。

この時槍の穂先が見える事を確認するのを忘れた。



なんと青空が広がっている。

今日は素晴らしい天気の様だ。

アカバナイチヤクソウが元気に咲いている。



アキノキリンソウやオオバギボウシも朝露に濡れて輝いている。



槍見からカブト岩を眺める。

此処からも槍の穂先が見えると言うが?



ミヤマママコナとヨツバシオガマ



ヤグルマソウとニッコウキスゲ



綺麗に積まれた石の道を登る。

整備は大変な作業だろう。

感謝



赤沢岩小屋のあたりは、大きな赤い岩がゴロゴロしていてダケカンバの林が押し倒されている。

今年の5月に岩を含んだ大きな雪崩があったそうだ。

槍沢ロッジの方々が整備してくれたらしいが重機も使えなくて大変だった様だ。



ムラサキヤシオの花がチラホラと咲いている。

何ともいえない良い色をしている。

ウスノキかな?



沢が滝の様に轟々と流れている。

ハクサンシャクナゲが満開。



ピンクがかったミヤマカラマツとハクサンフウロ



グンナイフウロとウラジロナナカマド



横尾尾根が朝日に輝いている。

石積みの残るババ平(槍沢テント場)に5時59分着。

昔此処に槍沢小屋があったらしいが雪崩で何度も崩壊し今の場所に移転したらしい。

石積みはその時の名残とか..



新しく引き直された水場はホースから勢いよく水が出ている。

顔を洗い、ゴクゴクと飲む。

冷たくて甘くて美味しい。

此処から槍ヶ岳まで5q



テントの人達は既に出発した模様で静かだ。

正面に見えるギザギザの稜線は通称表銀座と言われている縦走路の東鎌尾根。



昔氷河が削り取った槍沢のU字谷を登っていく。



紅白のミネザクラが可愛い花を咲かせている。



おお!雪渓が見えてきたぞ!



ミヤマダイコンソウとツマトリソウ



ヨツバシオガマとゴゼンタチバナ



正面の東鎌尾根に向かって進む。

ベニバナイチゴが沢山咲いている。



見上げるとベニバナイチゴがビッシリと咲いている。

こんなに大規模な群生は初めて。

ミヤマキスミレも群生

オオバキスミレと似ているが、葉がきちっと輪生しているのでミヤマキスミレだろう。



雪渓に踏み入ってすぐに道を失う。

右上に夏道があるのを発見



マイヅルソウがまだ元気

五郎沢に着く。



谷の左岸を行くが雪解け直後の道には沢山の花が乱れ咲いている。

ヨツバシオガマは綺麗な花



上高地では既に実だったサンカヨウが初々しい。



キヌガサソウとエンレイソウ



雪渓を何回か渡る。

雪渓の下を水の流れる音が大きく響いている。割れて落ちないかビクビク通る。

また夏道になり沢が多くなる。



シナノキンバイが目立ち始める。

でっかくて派手な花。

大曲に6時35分到着。

此処から右に沢を登ると水俣乗越に出て東鎌尾根を歩く事が出来る。

此処から谷は西へと大きく曲がる。



ショウジョウバカマとキバナノコマノツメ



ミヤマキンポウゲ

正面に見える白い山は?



大曲を過ぎると雪渓の向こうに中岳が聳える。

台形の大きな岩はツバメ岩

中央の緑の丘は丸山



雪渓は少し凍っているがアイゼンを付ける必要はない。

雪渓の真ん中は割れて穴が開いている。



凍った雪渓をバリバリと進んでゆく。

雪渓の色が黒いのは何故?



左岸の雪解け道に出る。

数人が休憩している。



雪解けの後には新芽がニョキニョキ

結構キツイ登りだなあ。



今朝槍ヶ岳山荘を出発したのだろうか団体が下りてくる。



雪渓を離れて草花の咲き乱れる夏道を行く。

正面にとんがり山が?

あれが槍か??

すれ違ったおじさんに家内が聞いている。

「全然違うよ槍は後一時間以上登らないと見えないよ」

げっ!

そうするとあの尖りは大喰岳かな?



シナノキンバイ、ミヤマキスミレなどのお花畑が続く。



天狗原の分岐に7時32分着。

此処で標高2360m位

槍沢ロッジから500m程登ってきた事になる。

出発してから丁度二時間。

なかなか良いペース。

あれっ!二人天狗原に向かっているぞ。



コバイケイソウが咲き始めている。



東鎌尾根はゴツゴツして男性的。



コイワカガミのピンクが目立つ様になる

右はクロウスゴの実かな?



アオノツガザクラにチングルマ



シナノキンバイやミヤマキンポウゲが咲き乱れる。



益々キツイ登りとなる。

コバイケイソウの花園が広がる



振り返って天狗原と南岳方面



ハクサンイチゲが目立ち始める。

アルプスに来たという実感が湧く。

此処で家内の様子がおかしくなる。

花を夢中で撮影していて気が付かなかったが、家内の足が前に出なくなっていた。

胸がむかむかして頭が痛いという。

昨夜は隣の男性のいびきで殆ど寝られなかったとか。

とすれば二日続いて寝ていない事になる。

高山病にかかったのかな?



しばらく休憩。

そう言えば出発してから一度も休んでいない。

水も殆ど飲んでいない。

これは失敗だった。

おまけに雨かも知れない、寒いかも知れないと着替えや

防寒具そしてアイゼン等でかなり荷物が重くなっている。

家内の荷物を少し私が持つ。



休み休み登って水沢でまた休憩。

豊かに流れる沢の水は冷たくて美味しい。

此処まで水場が多かったので、担いできた3リッターの水は殆ど残っている。

バカみたい。

しかし此処から上には水場はないので水のない場合は此処で汲んでおく必要がある。



励ましながら登ると早朝に出発していったドクター夫婦が休んでいた。

家内の様子を見てゆっくりゆっくり登りなさいねと声をかけてくれる。



オオヒョウタンボクの花とハイマツの赤い実



ハイマツ帯を横切っていく。

此処がグリーンバンドだろうか。



振り仰ぐと槍の穂先が突然眼に飛び込んできた。

その鋭い槍先が紺碧の空を貫いている。

おお!やっと来たぜ。

あこがれの槍ヶ岳だ。

気持ちが高揚するのを感じる。



岩場にはキバナシャクナゲが群生



コメバツガザクラ?とコイワカガミ



槍に向かって進む。

家内の足取りは重くなかなか進めない。

下山の団体からも励ましの言葉をもらう。

追いついてきたドクター夫婦にも道を譲る。



やっと坊主岩屋下分岐に到着

標高2670m位

8時54分着

出発してから約3時間半



坊主岩屋の前の岩でしばし休憩。

家内を励ましながら出発。

ドクターの奥さんもかなり疲れている様子。

休憩しているので挨拶してお先に進む。



最後の雪渓を頑張って登る。



ヘリコプターが荷物を運んで次々と飛んで来る。

雪渓を渡りきるとゴロゴロの歩きにくい岩道となる。



やっと殺生分岐に付く

槍ヶ岳は目の前。



大喰岳方向は雪が多く残る。

東鎌尾根を登山者の列が進んでいくのが見える。



分岐の大岩で休憩。

少し早いが昼食にする。

槍沢ロッジで購入した寿司飯は押し固めてあり二人で食べても十分の量。

とても美味しい。

のんびりと食後のコーヒーを飲んでいるとドクター夫妻もやってきた。

なんと同宿だった父娘がもう下りてきた。

早いなあ!気を付けて下りてね。



あれれっ!雲一つ無い晴天だったのにガスが湧いてきた。



キバナシャクナゲとコメバツガザクラの競演



しばらく休憩すると家内も元気が出てきた様だ。

最後の急坂に取りかかる。



ガスが出てきたので、干してある布団を取り込むのに大忙しのヒュッテ大槍

槍の肩の下にはハクサンイチゲの群落。



ミヤマタネツケバナが岩の間に咲いている。

だんだんとガスが濃くなる。

東鎌尾根との分岐に着く



もう少し踏ん張って槍ヶ岳山荘着。

11時4分

槍沢ロッジから5時間34分

坊主岩から2時間程

家内は感極まって涙顔。

こんなに苦しかったのは初めてだとの事。

見知らぬ人にも苦しかった事を説明している。



達成感でほっとして、さあ槍の穂先だっ!しかしっ!

なんと言う事だ!!山頂はガスで見えない。

ガ〜ン!ちょっと着くのが遅かった。

気を取り直し、とりあえずチェックイン

また二段ベットの部屋でA−1〜4

4人分を二人で使えるみたい。



身軽になって偵察に出る。

おっ!同宿の若い夫婦が登ってきて昼食の準備中。

天狗原に寄ってきたそうだ。

雪が多く怖かったと言っていた。



かなりゆっくりしてドクター夫妻も到着。



槍沢のカールを見下ろす。

此処を登ってきたんだと思うと感慨深い。

とうとう槍ヶ岳に来たんだ。



慈恵医大の若い二人もやってきた。

仲間と再会して大喜び。

大勢の若者がボランティアでドクターの手伝いをしているんだなあ。



ガスが晴れないのでキッチン槍で休憩。

モンベルの会員証を見せると飲み物がサービスとなる。

私は生ビール家内はコーヒー。

焼きたてのクロワッサンが美味しい。

バイトのオーストラリア娘のサリー嬢と記念撮影

さて槍の穂先に登る事は出来るのだろうか?

続く

里山倶楽部四国編

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