槍ヶ岳 V 2009/07/23〜24
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− 憧れの大槍に立つ 素晴らしい朝焼け −

先程まで雲一つ無い青空だったのに、あっという間にガスが巻いて何も見えなくなった。

山荘のおじさんに聞くと「また夕方には晴れる事もありますよ」

仕方がないのでライブカメラで見慣れている山荘前のテラスでボンヤリと過ごす。



山荘の東側には慈恵会医科大学槍ヶ岳診療所がある。

無線で大学病院と接続されており画像診断などが出来る様なっているらしい。



西にはトイレと穂高への従走路

イワベンケイが沢山咲いている。



ハクサンイチゲだと思うが少し雰囲気の違う花が一輪

ミヤマタネツケバナもひっそりと咲いていた。



槍ヶ岳は北アルプスの交差点

色々な標識がある。



穂高への従走路手前のコブの下にはテン場があるが誰もテントを張っていない。



ミヤマキンバイは葉に特徴がある。

ハクサンイチゲもアチコチに咲いている。



ウメハタザオとイワツメクサ



大槍は写真で見るより切り立って見える。

一瞬ガスが晴れて岩にとりついている登山者の姿が見える。結構怖そう

どうやって上り下りするのかしばらく観察。



上の梯子の下の登りと下りが一緒になっているところが難関らしい。



下りで随分と手こずっている。

これ以上待ってもガスは晴れそうにない。

若い夫婦が出発したので私達も登る事にする。



岩の角は掴みやすく足場になる突起も多い。

ミヤマキンバイが岩の合間にけなげに咲いている。



家内は何の躊躇もなくぐんぐん登る。

振り返ると山荘はガスの中。



階段もしっかりしていてガタツキもなく踊り場も固めてあるので安心。



ボルトを打ち込んだところも簡単すぎて拍子抜けするくらい。

家内は余裕でこちらを見て何か言っている。

追いかけてみると、岩の間に可愛い花が。

クモマグサの咲き始めの様だ。

可愛いなあ..



上の階段の手前の登りと下りが一緒になるところで、ガイドを二人も付けた団体が下りてきた。

先頭の男性のガイドは急なところは先に下りて鎖を片手で掴んで身構えている。

お客がもし滑り落ちてきても此処で受け止めてやるぞという雰囲気。

女性のガイドは皆に鎖を持って後ろ向きに下りろと教えている。

ガイドの後ろの数人は教えられたとおり後ろ向きに下りていく。

しかしその後の人達は前向きにお尻をついて下りる為に危なっかしい。

しかも動けなくなって大渋滞。



やっと皆さんが下りたので登り始める。

鎖を使うほどのことはない。岩はしっかりしている。

連続する階段もしっかりしていて登り切ったところの足場も固めてある。



最後の長い階段もゆすってもびくともしない程頑丈で安心。

頂上では5〜6人が休憩中。

此処の三角点はかなり風化していて地面に埋設・固定されておらず、国土地理院の点の記にも

「成果使用不能」扱いとなっており三角点として認められていない。



ガスっているせいか高度感が無く怖くない。

傾いた山頂の社の横でで記念撮影

ロープで飛ばない様にした山頂標識がちょっと貧弱。

先に登っていった若者夫婦は端っこで座り込んでいる。



頂上の岩は今にも割れて崩れて落ちそう。

頂上からの眺望は全くない。

残念だなあ。



ガスが時折流れて下が見える。

槍ヶ岳山荘が見える。

突然下から歓声と大きな拍手が響く。

先程の団体が全員無事下りたのだろう。



若者夫婦の男性が梯子で片足を上げたり両手を離したりしてのパフォーマンスの後、

下りていったので替わって岩の端っこに行きガスの晴れるのを待つ。

一瞬、殺生小屋、ヒュッテ大槍そして槍沢のカールが見える。

結構高度感がある。×マークの下には東鎌尾根が伸びている。



北側には、北鎌尾根と西鎌尾根そして硫黄尾根に囲まれて天狗沢が深く切れ落ちている。

北鎌尾根の右は天井沢か?
 
突然、落石の大きな音が響く。

二度三度ガラガラガラドーンと響く。

雪解けの時期は雪崩、落石が怖いなあ。



ただひたすらガスが晴れるのを待つ。

私はあっちへ行ったりこっちへ行ったり一瞬ガスの晴れるのを見逃すまいと待っている。

三角点の横には単独行のおばさんがやはりガスの晴れるのを待っている。



昨夜同室だったご夫婦が登ってきた。

記念撮影をしてさっさと下って行った。



そのうち団体さんがやってきて山頂は大にぎわい。

ガイドがガスの向こうに見えるはずの山並みを説明している。

団体が下りて寒くなってきた。

そろそろ諦めて下りようか。

下りも階段は問題なし。



家内はするすると下りていくが、私は足場を確かめながら下りるので遅れてしまう。



鎖より岩の角をしっかりと掴み下を見てを足がかりを捜して下りる。



やっとガスがひいて大喰岳が顔を出す。

東鎌尾根を行く登山者が真下に見える。



途中で足場が解りにくくなり、ちょっと怖いところもあり緊張する。

足を置こうとする岩場に高山植物が沢山咲いていて、注意しながら下る。

チシマアマナは初めて見る花。



ミヤマツメクサとイワウメ



下りてきて槍の穂先を見上げる。

ふうっ!

あらまっ!青空が見えている。

缶ビールを飲みながら外のテラスでまったりと過ごす。

時間があるので、売店でお買い物

200円で登山証明書を発行していただいた。



大きな山荘の廊下は黒光りする程磨き込まれている。

17時から夕食。

ご飯はおみそ汁で食べて、おかずはビールのつまみ。

ツアー客は誕生日のお祝いだとか、山荘からの差し入れのワインとかで盛り上がっている。

談話室に行って皆さんの武勇伝を聞きながらウィスキーをちびりちびり。

明日は大キレットを縦走する予定のグループが多い。

単独行の女性もやはり縦走組の模様。

7時に部屋に帰るともう皆さん熟睡モード。

すぐに寝付くが大きな物音で目が覚めた。

団体が隣室の寝床にやって来てどたばたしている。

真夜中に非常識だと思ったが、なんとまだ8時過ぎ消灯前だ。

その後、昨年手術した右目がうずいて何回か水で眼を冷やしに起きる。

やはり今日の紫外線はサングラスをしていてもきつかった様だ。



明け方大きな声がするので飛び起きるとなんと良いお天気。

窓から笠ヶ岳が綺麗に見えている。

外に出ると西岳から赤岩岳へと伸びる稜線の上の空が明るくなっている。

常念岳は雲の中



雲海に浮かぶ笠ヶ岳は堂々としている。



笠ヶ岳の右には双六岳や黒部五郎岳が雲海の中から顔を出している。



槍ヶ岳のご来光



日が差してきてハクサンイチゲが輝く。



朝露に濡れたハクサンイチゲに朝日が射して息をのむ様な美しさ。



明るくなるに連れて景色の色合いも変わっていく。



槍沢のカールも明るくなってきた。残念な事に穂高方面や常念岳方面はガスの中。



山荘の北側には硫黄岳から硫黄尾根と赤岳。

その向こうに水晶岳から真砂岳そして野口五郎岳更に奥に薬師岳から立山連峰?



硫黄岳から硫黄尾根そして赤岳更に西鎌尾根へと伸びるは厳しいルートらしい。

ゴジラの背の様な稜線が続いている。

その手前に中山沢とか天狗沢とか天狗前沢とかが千丈沢に深く切れ落ちている。



やっと大喰岳から穂高方面もガスがひいてきた。



若者夫婦は今日も朝食を取らないで下山。

さようなら!一緒に過ごした槍ヶ岳での一時楽しかったよ。気を付けて。

朝食は無料のふりかけと梅干しをたっぷりいただく。

隣に槍沢ロッジの同部屋のご夫婦が一緒となり色々とお話をする。

神奈川の方らしい。

今日は、私達と同じく上高地まで下るらしい。

昨夜は個室泊まりだったとか。

やはり家内と同じで槍沢ロッジの男性のいびきに参った様だ。



さあ名残惜しいが帰ろうかな。

山荘の前は団体さんでごった返している。

韓国語が飛び交っている。



突然轟音がしてヘリがやって来た。

空中ショウに皆さん大喜び。



大喰岳から中岳への稜線がおいでおいでと呼んでいる。

しかし今日は真っ直ぐ下りる。また今度ね。

5時58分下山開始。



ドクター夫婦から「体調はどうですか?」と声をかけていただく。

お世話になりました。

診療所大変でしょうけど頑張ってください。

さようなら



槍ヶ岳にもお別れ



苦しかった道も帰りは早い。



昨日休んだ岩場まで来ると岩の下にコメバツガザクラとミネズオウ



イワウメも咲いていた。

雪渓をガンガン下りていく。



ハイマツ帯まで来てキバナシャクナゲを楽しんでいたらオコジョが顔を出す。



また雪渓を渡り水沢まで来るとお猿さんの集団。



コバイケイソウが昨日より花を開いている。



アオノツガザクラとピンクのタカネヤハズハハコの蕾



天狗原の分岐を下りきったところの雪渓から水が流れだしているところで休憩。

顔を洗ってゴクゴクと飲む。

最高。



大曲手前の雪渓を行くがかなり割れだしている。



ショウジョウバカマのピンクが綺麗。

雪渓の解けた下には早くも沢山の芽が出ている。



いつの間にか小雨が降り出した。

サンカヨウが昨日より更に初々しい。



キヌガサソウと?のイチゴ



クロウスゴの実も可愛いね。

ババ平に下りてきた。



赤沢岩の雪崩跡は凄い事になっている。

登山道を復旧するのは大変だったろうなあ。



9時56分槍沢ロッジ着。

例の200円のカップヌードルとビール。

家内は100円のセルフコーヒー。



昨日蕾だったマルバツワブキが花を開いていた。



あくまでも蒼い梓川の流れ



ヤマトウバナが見えてくると横尾に到着。

11時37分



しばらく休んで出発

徳沢園に12時34分着。

かなり疲れてきた。



槍ヶ岳山荘で購入したおこわ弁当で昼食。

神奈川のご夫婦がやって来て美味しそうにソフトクリームを食べている。

私達もソフトクリームを購入400円。美味しいなあ..

C.Cレモンを二本購入して1本はすぐに飲み干す。

疲れが飛んでいく。

昨日、ガラガラだったテン場はビッシリとテントが張られている。



後は一生懸命ひたすら歩く。

足の裏にマメが出来たのか痛い。

明神館で神奈川のご夫婦にお別れ。お世話になりました。

さようなら。

タカガワホトトギスやオタカラコウが咲いていた。



バイカ藻が綺麗。

14時46分やっと河童橋に帰ってきた。

槍ヶ岳山荘から9時間足らず掛かっている。

このベンチで休みながら、山から下りてくる人達を眺めていたのは何時の事だったろうか。

その時は彼らを何処か違う世界の人達だと思っていた。

まさか私達が山から下りてきてこのベンチに座る事が出来るとは思ってもいなかった。



振り返ると青く澄んだ梓川の向こうに堂々たる穂高連峰が。

いつかね。きっと。行きたいね。



3時にバスターミナルに着き3時15分の臨時便で平湯温泉へ。



部屋に入り椅子に座るともう立ち上がれない程疲れている。

貸し切りの露天風呂で足をもみほぐす。

此処の源泉はホテルの地下から湧いているそうだ。

風呂を上がってビールを飲んで一眠り。

起きるとすっかり疲れが取れていた。

飛騨牛の握り寿司はとろける様で美味しかった。

朴葉味噌と一緒に焼いた飛騨牛も柔らかくて大満足。

山菜天ぷらや打ち立てのお蕎麦その他一杯食べきれなかった。

冷えた地酒も最高。

美味しすぎて写真を写すのを忘れてしまった。

食後、浴衣に下駄を履いて近くを散策。

おみやげを買って足湯に浸かる。

此処の足湯はゴウゴウと川の様に流れるお湯。

また温泉に入り、熟睡して、朝風呂を楽しみ豪華な朝食。(上の写真は朝食)

朴葉味噌が美味しい。



帰りに平湯大滝による。

駐車場から結構長い登り道。

やっとたどり着いた平湯大滝は想像以上に素晴らしかった。

高山から高速に乗り豪雨の中を二時過ぎに自宅着。

梅雨の最中の槍ヶ岳、雨を心配したが素晴らしい天気の中を歩く事が出来た。

家内も大喜び。

大きな夢が一つ達成できた。

次は?

里山倶楽部四国編


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