槍ヶ岳 2009/07/22〜25
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− 念願の槍ヶ岳 槍の穂先に立つ事が出来た −



私達夫婦が山歩きを始めたのは6〜7年前。

徳島や香川の里山歩きから関東そしてまた四国の山々を歩き始めた。

その時夫婦で決めた事がある。

安全第一。決して無理をしない事。

槍や穂高はとても私達の登れる山では無いと思っていた。

しかし家内が槍に登りたいと言い出した。しかも槍の穂先に立ちたいと言う。

そりゃあ、私も出来る事なら槍ヶ岳に登りたい。槍は私達素人山歩き族の夢だもの。

しかし、私達に登る事が出来るだろうか?



家内はともかくとして私は完全なメタボ中年。

その練習に岩山を経験しようと昨年は宝剣岳や西穂独標そして八巻山などに登った。

標高差を克服する為にお高越山にも何回も登った。

腕立て伏せと腹筋も続けた。

何とかなるかも知れない。

後は私がウェイトダウンをするだけ。

(所がこれが大失敗で一年で4sもよけいに太ってしまった)

やっと待ちかねた海の日がやってきた。

所が天候が安定しない。

二度程計画を延期して天気図を睨みっこ。

山口で豪雨を降らした前線が23日には南に下がり長野は晴れ間が出る予定。

この日に槍へ登るには22日に出発するしかない。

21日に仕事を終わり、早く寝る予定が準備で結局21時前になる。

12時に飛び起きて0時半出発。

所が高速に乗る前からものすごい雨。

明石大橋を渡り山陽道にはいるとバケツをひっくり返した様な豪雨となる。

雷が光りすぐ目の前の車のボンヤリしたテールランプしか見えない。

スピードダウンして走るが関ヶ原を越えても雨足は弱くならない。

やっと高山への無料道路に入ったところで雨足が弱まる。

これだけ降ればお空の水瓶も空になり、後は天気になるさなんて楽観的に考える。

予定より大幅に遅れて7時前に平湯に到着。

車を停めてバスターミナルに向かう。

7時発のバスで上高地へ。

走っている最中に寝る予定だった家内は緊張で一睡もしていない。ちょっと心配。



バスターミナルは閑散としている。

登山届けを書こうとしていたら指導員?が飛び出してきて私を一瞥。

「何処へ行くの?」「槍です」「まさか縦走などしないだろうね」「いぇ、ちょっと登ってすぐ下りてきます」

「それならいいが、最近は無茶な中年が増えてね..」

7時45分出発。

同じぐらいの年輩のちょっと頼りなさそうな夫婦と一緒に歩き始める。

お聞きすると今回は涸沢から北穂、奥穂、前穂などを周回してくるそうだ。

人は見かけによらないなあ。

あっという間に見えなくなった。



河童橋まで来ると雨が弱くなってきた。

穂高の山々がはっきりと見えている。

振り返ると焼岳には日が差していた。



カラマツソウが花の盛りでこれからずっと登山中、私達を楽しませてくれる。

キバナヤマオダマキが何時もの所に咲いていた。



ヤチトリカブトが遊歩道沿いに色鮮やかに咲いている。

野営場にはテントがまばら。



カニコウモリはまだ蕾。

梓川に沿ってゆっくりと歩いていく。



梓川の向こうには明神岳(穂高岳)が聳える。



イチヤクソウとセンジュガンビは花の盛り。

イチヤクソウがこんなに沢山咲いているのには初めて出会った。



サワギクも一面に咲いている。

サンカヨウの葉はでっかくなって実がなっている。



キツリフネが雨に濡れている。

ヤマブキショウマかな?



タケシマランの可愛い実

イチヤクソウの群落は見事。



8時36分明神館に到着。

もうすっかり青空となる。

天気予報の読みが当たったみたい。ラッキー。

カッパを脱いで身軽になる。



身支度をしてすぐに出発。

エンレイソウに青い実

大きなクルマバツクバネソウ

クルマバツクバネソウは、ツクバネソウによく似ているが、葉が6〜8個輪生すること、糸状の
内花被片があること、雄しべの先端に葯隔が突出していることで見分けられる。



白沢の橋の上にキツネノボタン?

昨年間違えて行った徳本峠への分岐に来る。

懐かしいなあ。



なんと歴史のある徳本峠小屋が建て替えられるとか。

ぼろっちい小屋だったが何か壊すのはもったいないなあ。



昨年行った徳本峠小屋

明神岳の右奥に前穂高が見える様になる。



マイヅルソウの実とキツリフネ



ウツボクサとクサボタンの群生がある。



イチヤクソウの実とヨツバヒヨドリ



??イチゴの実とキバナヤマオダマキ



真っ赤なゲンノショウコと?アザミ



長七の頭の向こうに明神岳と前穂高

厳しい山らしい。

小説の氷壁はあの山々が舞台なのだろう。

遙か向こうに見えるのは大天井岳?常念岳か?



ヤグルマソウの花を初めて見た

?ウツギ



9時29分、徳沢ロッジ前を通過。

お風呂に400円で入れるらしい。



ミヤマシシウドがぽつんと咲いている。牧場跡のテント場には数える程しかテントが張られていない。



キンミズヒキが咲いている。

9時32分氷壁で有名な徳沢園に着く。



長堀山2565mまで4.5qの標識

長堀山から更に蝶ヶ岳2677mそして2857mの常念岳に続いている。



まだ昼食には早い。

左へと綺麗な小川を渡り横尾へと進む。

此処まで河童橋から標高は殆ど上がっていない水平道だった。

ギンリョウソウが綺麗に咲いていた。



ルイヨウボタンの実を見ながら行くと新村橋へ着く。

奥又白谷を越えて涸沢までのパノラマコースの入り口で相当厳しいコースらしい。



新村橋の向こうには前穂高から続く北尾根が聳える。



こんな所にもスダヤクシュとサワギク



やっと登山道らしくなってきた。

気持ちが良い道を行く。



ショウジョウバカマに似た葉だが?

ツバメオモトかもしれない。

引率の先生と女の子達の団体が歌を口ずさみながら軽やかに下りてくる。

遠足だろうか?



左に屏風ノ頭(あたま)を見ながら進む

ソバナが雨に濡れて可愛い



オオバミゾホウズキとヤマホタルブクロ



イワカガミがもう実になっている。



ほんのりピンクのイチヤクソウとホツツジ



サワオトギリが満開



コキンレイカが山肌を黄色く染めている。



クガイソウも咲き始め

ムラサキの蕊のあるセンジュガンビ



コキンレイカとホツツジ



10時37分横尾着

バスターミナルから2時間52分

左は中信森林管理所の横尾避難小屋

右は新しいトイレ





横尾山荘は昨年改築されてとても綺麗

横尾大橋とその向こうに屏風岩



バスターミナルでお会いした夫婦が橋を渡り涸沢に向かって行った。

お気を付けて..



上高地から此処まで11q

此処から槍ヶ岳まで11q

丁度中間地点



標高は1615m。

バスターミナルから標高差はたったの100m程。



少し早いが此処で昼食にする。

寝不足の所為か座っていると、うとうとしてくる。



10時55分出発

すぐに蝶ヶ岳まで3.4qの分岐

ショウキランの花の終わりかな?



マヅルソウの実が一杯

梓川の流れを見ながら緩やかな道を登っていく。



イチヤクソウの群落が続く

ようやく登山道らしくなるが傾斜は緩やか。



川の流れはいよいよ激しく美しくなる。

沢の小橋を渡るが橋の下は水が激しく流れている。



また、橋を渡る。



槍が見えるという槍尾河原に着くが槍は何処?

11時35分



ウバユリの大群落がある。

此処のウバユリは花が小さい。



ウバユリが一杯だねと話しているとウバユリ?の集団がやって来た。

トモエシオガマの白花?



エンレイソウの実が黒くなっていた。

モミジカラマツも所々に咲いている。



立派な橋を渡ると一ノ俣

此処から西へと曲がっていく。



益々川の流れが青く澄んで美しくなる。



もう一度立派な橋を渡ると二の俣



マルバツワブキはまだ蕾

エゾシオガマの群生がある。



ベニバナイチヤクソウの群生もある。

もう既に花の盛りは終わりつつある。

イチヤクソウより花期が早いのかな?



テガタチドリかな?



シロバナクモマナガナとグンナイフウロ



川に沿って行くとゴゼンタチバナの群落が現れる。



清流とクルマユリ



クルマユリの横にはカラマツソウに似た紫の蕾の??

グンナイフウロは殆ど花が散っている。



清流沿いにはエゾシオガマなどの花が咲き乱れている。



クルマユリとミヤマカラマツ



益々蒼くなる流れに見とれてしまう。



オオカメノキの実とミズキ



水がジャバジャバと溢れている小屋がある。

なんと水力発電小屋でバイオトイレや常夜灯に使われるらしい。



道の行き詰まりに大きな看板。



右に上がると今日の宿泊地の槍沢ロッジに着く。

12時33分着

バスターミナルから4時間48分

此処で標高1820m程



槍沢ロッジは想像以上に綺麗で立派

入り口に賞味期限切れの飲み物などを安く販売していた。

カップヌードルがお湯付きで200円だって。



中にはいると男の子とお父さんがうどんの食事中。

うどんは1000円。

とりあえず宿泊の申し込み。

一泊二日で9000円お弁当は1000円

個室は別に1万円



2階のコマクサのB−15、16と書いた紙をくれる。



部屋は二段ベットになっていて一つの枠に8つの番号を振ってある。

私達は奥の端

私達が一番乗りなので後でどのくらい混むか解らない。

隣は個室で、他に色々なタイプの部屋がある。



談話室はテレビが置いてあるだけ。

先着の男性が一人テレビを見ていた。

大勢の若者がやってきた。

槍から下りてきたらしい。

しばらく休んでそのまま下りていった。



とりあえず生ビール1000円で喉を潤す。

これが何とも美味しい。

家内は自己申告のインスタントコーヒー100円

乾燥室で濡れた衣類を乾かす。

3時になり風呂に行くと男女別で大きなステンレスの風呂。

のんびりとお湯に浸かり疲れを癒す。

スッキリして表で休んでいるとどんどん宿泊者がやっいてきた。

同じ部屋には若い夫婦と私達より少し若い夫婦そとて父娘の合計4組

ゆったりと眠れそう。

隣の部屋には男性の単独行が7人程

他に個室にお年寄りの紳士風の男性二人。

ドクター老夫婦

雲の上の診療所で有名な槍ヶ岳山荘横の慈恵医大槍ヶ岳診療所に交代要員で登られるとか。

毎年ボランティアで登られているらしい。

そして遅れて来た慈恵医大のインターン?の若い男女。

突然ヘリコプターがやってきて荷物を下ろし始めた。

ホバリングしたまま下ろして飛び去っていくがあっと言うまにまたやってくる。

重油のドラム缶や生ビールの樽などがどんどん増える。



5時から夕食タイム

質素だが美味しい。

ご飯を三杯もお代わりしてしまう。

食後は缶ビール750円を飲みながら皆さんと歓談。

単独行の男性二人は東鎌尾根からと西鎌尾根から槍に登って下りてきた人達。

登山道の様子など色々教えてもらう。

東鎌尾根を歩いている時、日食に出会ったそうだ。

私達は気づかなかったなあ..

お年寄り二人は79歳で若い時から一緒に色々な山に登ったそうだ。

昨年は剱岳に登って今年は槍に登るが槍は今年で最後と思っているとの事。

明日は槍ヶ岳山荘には泊まらずにまたこのロッジまで帰ってくるそうだが大丈夫かな?

父娘の二人連れは夕食も自炊。

中学生くらいの可愛い女の子に聞くとお父さんと一緒に沢山の山に登ったとか。

天気予報では明日は晴れ。

寝酒のウィスキーを飲んで7時に部屋に帰るとなんともう全員寝ている。

早くもいびきをかいている。

山小屋泊まりが初めての家内はなかなか寝付かれない様だ。

私はすぐに熟睡。

続く



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